スタスタと歩く忍を追い掛ける。忍の両手はポケットの中。


……手を繋げるのは、いつかしら。



シンデレラ、シンデレラ。


貴女のこと大好きだけど、あたしは貴女のようにしとやかではいられないわ。


一夜限りの思い出じゃ、あたしは満足出来ないから。


王子様が探してくれるのをジッと待ってなんていられないから。


もしあたしがガラスの靴を落としたとしたら、あたしは自分で取りに行く。


どんなにカッコ悪くても、着飾っていなくても、みすぼらしくても、走って走って、王子様のもとへ行くの。


王子様はきっと微笑んでくれる。


きっと忍は、微笑んでくれる。


意地悪だけど、優しい。素っ気ないけど、暖かい。



「忍っメアド教えて!」

「#*☆¥※◎$△」

「早すぎて何言ってるか分からない!!!」



小森 苺 15歳。


前代未聞のアグレッシブなシンデレラ。


やっと出逢えた運命の王子様を落とすべく、恋の罠を考え中。



……やっぱり夜這いかしら。