瞬間、忍は悪戯っ子みたいに口の端を上げて。
「苺しだいじゃね?」
あたしの名前をサラリと口にした。
「~っ一緒に帰ってぇぇぇぇえ!!!」
「ばっ、突進すん……ぐぇっ!」
抱き付くと、忍はみぞおちに渾身のストレートパンチを食らったかのような声を出した。
「どんだけ力あんだよ……」
力ない声が頭上から聞こえたけど、シンデレラに力なんてあるわけないじゃない。か弱いんだから。
「忍、好き」
「はいはい」
「大好き!」
「離れる気0か」
「一生離さないっ」
「ホラーにしか感じねぇ」
忍の胸にすり寄ると、溜め息が聞こえた。
「苺」
そうあたしを呼ぶ声に、埋めていた顔を上げる。そりゃもう満面の笑みで。
「もっと呼んで!」
「置いてくぞ」
それは嫌!



