「分かってるから行ったのにあの美容師!」
「俺は可愛いと思うよ?」
いつ追いついたのか、ムスッとするあたしの顔を覗いて、のんが微笑んだ。
「赤いリボンの髪飾りも似合うよ」
「……ホントに?」
可愛い、似合うと言われて不機嫌な態度がほころびはじめる。
「うん。シンデレラヘアになれなかったからって、意地でもお姫様ヘアにする心意気には感動したよ」
ニコッと無邪気に笑ったのんに、硬い教科書の入ったカバンを叩き付けた。
「のんなんて馬車に顔面ひかれればいい! むしろ馬車にされてあたしの足になればいいのよ! バカ!」
「えーやだよ。俺、王子様がいい」
どうしてあたしの隣には天使みたいな顔した悪魔しかいないの!?
シンデレラ、シンデレラ!
あたしの王子様は一体どこにいるの。



