『大丈夫ですか? お怪我は?』

『ごめんなさい! 大丈夫で……きゃあ! 遅刻しちゃう!』


慌てていたあたしは靴が片方ぬげたまま走り去って、イケメンは靴を持ってあたしの背中を見ながら呟くの。


『なんて美しい人なんだ……』


そしてイケメンは制服で判断して学校まで靴を持ってやって来るのよ!




「靴ぬげたら普通気付くでしょ」


「きゃー!!」っと盛り上がっていたあたしにマイナス100度の言葉。


「ていうかローファー片手に学校まで来るって……ふっ」


失笑? ねえ今の失笑?


「大体さ、苺の後ろ姿見て美しいなんて、むちゃくちゃだよ」

「王子様なら言ってくれるわよ!」

「別にいいと思うよ? まさかの白雪姫カット」

「~っのんのブァワカ! 意地悪! 性悪っ!」


「誉めてるのに」と唇を尖らすのんを無視して、学校までの道をひとりドスドスと足音荒く歩いた。



好きで白雪姫カットになったんじゃないわよ! シンデレラみたいにクリーム色のロングヘアになりたかったもの!


自分で脱色したら髪がタワシみたいに痛んじゃっただけなの! 慌てて美容院に行ったら勝手に切られただけなの!


死んでますね、って。