「ごきげんよう燈磨」


遅刻せずに教室に入ると、すでに登校していた燈磨が驚いたようにヘッドホンを耳から外した。


「……今ごきんようって言った? 何だそれ。どーしたんだ苺のやつ」

「ふぁ……。んー……忍くんが王子様に決定したみたいだよ」


ええそうよ! 今日のあたし、輝いてるでしょ!? キラッキラでしょ!?


「なんか……ギラついてんな」

「汗臭そうに言わないでくれる!?」


ギラギラじゃなくて、キラッキラって言いなさいよ!


「つーか苺、共食いか?」

「どこ見て言ってるのよ」


燈磨はあたしが持つ苺オレを指差して、ケラケラ笑う。ムスッとしながら席に着くと、隣の席に座るのんが口を挟んだ。


「めずらしいよね。苺が牛乳飲むなんて」

「つか牛乳嫌いじゃん」


前の席の燈磨がそう言って、あたしはハンッ!と鼻高々に笑う。


「愛の力ってものを知らないの?」

「そーいえば昨日のゲームさぁ」

「聞きなさいよぉぉお!!!」


何考えてんの!? その頭は何の為にあるの!? あたしの話を聞く為でしょう!?