「間に合わないじゃない!」
シンデレラは0時前に寝るのよ!
時間がないからって毎日の手入れを抜かるなんて無理! 寝不足で肌が荒れるなんて嫌!
あたしは意を決して立ち上がる。というより我慢に我慢を重ねて、自分に言い聞かせながら。
帰るのよ、苺。“彼”には明日会えばいい。
明日早起きして、待ち伏せすればいいんだから。
待ち伏せして、登校してきた“彼”の前に飛び出して、スケボーにひかれればいいのよ。
「…………、きゃーーー!!」
多少の怪我なら我慢するわ! 王子様が心配してくれるんだからっ!
明日の予行練習を脳内でしながら、鞄を持って歩き出す。もちろん頬は緩みっぱなし。
「ふふ、えへへ」
急いで帰らなきゃ! 明日の為に今日は高めのトリートメントと顔パックを!
高ぶった気持ちは全身に力を湧き出し、あたしは猛ダッシュで駅に向かった。
王子様! やっと明日逢えるわ!
――――ドンッ!
「「いっ……!」」
ったぁー!!!



