なぜかクスクス笑うふたりの背中を見届けて、視線を昇降口に戻す。


「はぁ……」


ひとりは退屈だけど仕方ないわ。この目で“彼”の顔を見るまでは、帰らない。


……にしてもまだかしら。


放課後になって1時間。昇降口から出て来るのは求めていない人ばかり。


まだ出てこないってことは、部活中? ……スケボー部なんてあった?


「……はぁーあ」


何部なんてどうでもいいから早く出てきてほしい。



期待に膨らむ胸が熱くて、焦げてしまいそう。





「いつまで待たせる気なの!?」


我慢の限界に達して思わず叫んだあたしは、部活終わりのサッカー部員たちに変な目で見られる。


見てんじゃないわよ! ていうか何で部活終わってるのよ! 今何時!?


バッと携帯を開くと、表す時刻は18:37。


「う、嘘でしょ……」


“彼”を想像して待っていたらもうこんな時間!? 今から帰ったら家に着く時間、19時過ぎちゃうじゃない。


そこから夕飯にお風呂……ヘアパックして……丁寧に乾かして…肌の手入れして……パックして……。