「いよいよ死ぬかと思ったわ」
「コンクリートだものね」
「分かってんならその癖治すべきじゃね?」
抱き付く癖を? 嫌よ。ていうか無理。忍が足腰鍛えればいい話じゃない。
好きなんだもの。伝えたいんだもの。
何回言っても足りないこの想いを、伝えても伝えても留まらないこの想いを。喋れるうちに、伝えておきたい。
シンデレラに憧れていたの。自分にふりかかる災難にもめげずに、明るく、前向きに生きる彼女の姿に憧れていた。
いつか出逢える王子様を想って、最後まで諦めなかった彼女に、どうしようもなく感動して。あたしもいつか恋をしたら、シンデレラのようになろうと。
そりゃちょっとは、シンデレラとはかけ離れてるかもしれないけど。
それでもあたしは、自分に素直に恋をした。だから今こうしていられることが、幸せで仕方ないのよ。
「好き好き。忍、大好きっ!」
「あー。はいはい」
「1回くらい俺も、って言えないの!?」
寝転がったままの忍から勢い良く離れた、はずなのに。後ろ頭を支えられて、引き寄せられた。
垣間見たのは、忍の瞼が閉じられていたこと。
「「………」」
わずか1センチ離れた場所に、忍の顔。唇には、まだ残る柔らかい感触。ボッ!と赤くなるあたしと違って、忍は飄々としていた。



