「だから嫌だったんだよ」
ボソッと呟いた忍があまりにも眉を寄せて不機嫌そうにするものだから、あたしは慌ててしゃがみ込んだ。
「嫌いにならないでっ!」
「なるかよ」
ハァー……と3度目の溜め息をついて、俯く忍。
……きゅんとしてごめんなさい。ついでに言うとヤンキー座りの忍も、素敵で萌えです。
「お前、マジでもう私服で学校来んな」
「……」
額を押さえながら気絶するネズミさんを見遣る忍は、どうしたって王子様にしか見えない。
「……どうして?」
分かってるのに、聞いてしまう。
忍は眉間に深くシワを刻んで、あたしを瞳にとらえた。
「危ねぇからじゃん?」
「……何が?」
「だから可愛い格好してっと男が寄ってっ…………ああ……死にてぇ……」
つい口が滑ったと言うように、忍は俯いてしまった。
悪いけど、このままで終わらせる気ないわよ。
心臓破裂するかと思った! 何、死にてぇって! 照れ屋さん!!
「だからあんなに怒ったの?」
「……」
「親まで呼び出そうとするくらい嫌だった?」
――ねえ、忍。
言ってよ。嫌だったって、言わなきゃ明日も着てくるわよ?



