「私服がどうして嫌なのか。忍は乙女心を分かってないわけじゃないわよ?」
「分かってたら可愛いって言うじゃない!」
かみつくように間髪いれず言葉を返すと、オッサンは艶のある髪を耳に掛けて哀れみの目を向けてきた。
「これだから若いだけが取り柄の子は」
む、むかつく……!
「男心が分かってないわね? 苺は」
フフンと得意げに笑う、本当はオッサンなんて呼ぶには失礼極まりないほど綺麗な顔をしている店長。
だけど、性別は正真正銘の男。
「……」
ああ、だから、のんや隼人先輩は棒読みだったのか。
あたしはもう一度鏡を見て、そのまま問いかける。
「この格好……可愛くない?」
「まさか。可愛いわよ」
忍も、そう思ってる? 本当は、思ってる? 思っても、言わないのは……。
「忍は苺のこと、よく分かってるみたいね」
「……っ忍に会いに行ってくる!」
「え!? ちょっと苺ぉぉぉお!?」
オッサンの叫びを無視して、個室から何事かと出てきたのんと燈磨も無視して、-mia-を飛び出した。



