「誰にも言わないでっ」
「あらどうして?」
「……っ、は、恥ずかしいから」
なんて、ちょっとは本当だけど。ほんとは違う。
「独り占めしたいんでしょう」
クスクスといやらしく笑うオッサンの脛を、思いっきり蹴った。
「いったぁぁああ! 何するのよーっ!」
「うるっさいバカ!」
手に握った紙を、ぎゅっと握った。
忍が4回目に引いたクジ。あたしの、宝物。
「何なのよもうっ! せっかくいいこと教えてあげようと思ったのに!」
「何よいいことって」
「忍の癖」
……癖?
「声出さないで笑う癖なら知ってるわよ」
「やぁねぇ違うわよ! バカね!」
ねぇもう1回蹴っていい? 脛蹴っていい?
イラッとした顔をすると、オッサンは溜め息をついて、耳打ちをして教えてくれた。
「明日会った時にでも確認してみなさい」
「……嘘だぁ~」
「あともうひとつ」
疑うあたしの顔の前に、人差し指を差しだしたオッサンは、楽しげにあたしの鼻を突っついた。



