「会長が王子様じゃないなら、誰が…」
「いやだからさ、まだ分かんねぇじゃん?」
「そうだよ苺。誰だって最初は苺と絡んだら変な奴って言いたくなるよ」
傷口に塩を塗るようなこと言わないでよ!
「のんのバカ!」
「ああ今のはバカだよな?」
燈磨がフーッと息を吐きながらあたしの頭を撫でる。
のんは「フォローしたのに」と口を尖らせたけど、どこがよ!
「もういい。焼きそば食べるっ」
プイッと2人に背を向けて、空いてる席に向かう。その間視界に映った会長が、無性に腹立たしい。
あたしの期待を返して!
もう本当に、本当に我慢できない!
“彼”は、どこにいるの? いつまで行方不明でいる気なのよあたしの王子様は!
「「苺ー?」」
のんと燈磨に後方から呼ばれて、振り返った。
「あたし今日、張り込む」
「「…………え?」」
もう待ってられないもの。
「放課後、彼が出てくるまで昇降口に張り付いてる!」
「「マジ?」」
マジよ。
小森 苺 15歳。
やっと見つけた後ろ姿しか分からない王子様候補。
必ず捕らえて、間違えた。
見つけてみせます!