「今日、生徒会の会議だから」
床に立たされて、忍はぽや~っとするあたしの頭に弁当箱を置いた。
「すげーバランス感覚じゃね?」
その言葉にハッとして、あたしはすでに大聖先輩たちと歩き始めた忍の背中に叫ぶ。
「会議って何!」
「待ってなくていいってことだよ。ひとりで帰んなよ」
振り向いた忍はそう言って、意地悪くフッと鼻で笑った。
「じゃあな、弁当姫」
「んなっ、~~っ!」
弁当のどこがティアラに見えるのよっ!! こんなでかいティアラがあるか!
「はあ……。もう……」
ポケットに両手を突っ込んで歩く忍の背中を見送って、恥ずかしさから顔を覆う。
振り回してるのはあたしだったはずなのに、何であたしが振り回されてるのかしら。
待ってなくていいなんてヒドイけど、ひとりで帰るなよなんて心配してくれる。
ねぇ忍。
あたしが忍のこと好きなのを百も承知なら、忍は? あたしは、まだよく分からない。
体育祭の日から、これと言って好かれてると感じることがない。
……ないわけじゃないの。相変わらずだけど、垣間見える優しさは嬉しい。嬉しいけど、好きだと言ってほしい。
私服を見て、可愛いって言ってほしい。お弁当を食べて、美味しいって言ってほしい。
これは我儘なの?



