「なんだよ。今更食べんなとか言ってもお断りですが」
し、忍があたしのお弁当を……。
「つか、何でウズラの卵に、顔付いてんの?」
た、食べ……食べてる……。
「これカモメ?」
「ヒヨコよ失礼ね!」
思わず叫ぶと忍は目を見開いて、笑った。
あぁ、もう。怒ってたあたしがバカみたいじゃない。
「……食いづらいんですが」
「知りません」
いそいそと忍の膝の上に移動すると、頭上から忍の溜め息。
「もっと右寄れ」
そう言われて、忍の右側に体を寄せると、黙々とお弁当を食べる忍。
見ると、大聖先輩はおかしそうに笑って、湊磨くんはニヤニヤと笑っていた。
忍は相変わらず表情を変えずにいたけど、あたしの口元は緩みっぱなし。
「忍……好きっ!」
「お前コレしょっぺーよ」
「弁当の味とあたしの告白どっちが大事なのよ!」
「はん? お前が俺を好きなことくらい百も承知じゃね?」
サラッと言う忍に、体中の血が顔に集まる。
「ごっそさん」
真っ赤になるあたしを気に留める様子もなく、忍は弁当箱を片付け始めた。
その時、食堂に昼休みの終了を知らせる予鈴が鳴り響く。忍は動かないあたしを持ち上げてから、立ちあがった。



