「……きゅん、てするわ忍」

「ああ、こういうとこ」


絶 対 嘘 !


まるで今発見して、これでいいや的な言い方だったわよね!?


「忍っ、苺ちゃんむくれちゃったじゃん!」


慌てる大聖先輩に言われて、忍はあたしの顔を覗く。頬を膨らませるあたしを見て、忍は一言。


「ハムスターみたいじゃね?」


その言葉に、あたしはテーブルに置かれていた弁当箱を持って、忍の顔面に叩き付けた。


「忍のボケ! ハゲ! センター分けのくせにー!!」

「イッテェ……最後関係なくね?」


鼻を押さえてしかめっ面になる忍から、あたしは視線を逸らして俯いた。


あたしはハムスターじゃなくて、シンデレラよ!


「おい」


大体、あたしが何のために私服を着て来るか、何のために早起きしてお弁当作ってきたか、ちっとも分かってないっ!


「苺」


もう最悪よ。あたしの好きと忍の好きは比例してない。むしろ反比例。差は広がるばかりね。格差社会……っ!


「まあいいか」

「もっとかまってよー!」


諦めたらしい忍に勢い良く顔を上げると、「はん?」と眉を寄せる忍。でも、あたしは静止する。