「別にしてなくね?」
同意を求めるように視線をよこした忍だけど、あたしはそっぽを向く。
よく考えたら、あたしが怒ってたんじゃない! 私服を怒るばっかりで、褒めてくれないから!
「ああ、苺が何か知んねぇけど怒ってんじゃん?」
「あたしだけ悪者なの!?」
言うだけ言って、黙々と米を食べる忍。
あぁその白い米粒になりたいじゃなくて何考えてるの米になんかなりたくないわよ!
「何怒ってんだよ苺~。肌に悪いぞっ」
語尾に星マークがついてそうな声色で話す湊磨くんが、いつにも増して心底うざったい。
「湊磨くんは一言も発しないでちょうだい」
「はー!? 扱いひどくね!?」
「落ち着きなよ湊磨」
「そうよ、うるさいわね」
「大聖は喋っていいのかよ!」
当たり前じゃない何言ってるのよ。爽やか男子とコバエの違いが分からないのかしら。
そう目で訴えると、湊磨くんは忍に声を掛ける。
「なぁ忍、苺のどこがいいんだよ」
「はん?」
忍は水を飲もうとした手を止めて、眉を寄せる。
ちょっといきなり何聞いてくれちゃってるのよ! ナイス!
期待から忍を見ると、忍もあたしを横目で見ていた。探るように真っ直ぐ見つめられて、あたしの心拍数はジワジワと上がっていく。



