「箱の中に忍専用の袋を入れてただけよ。忍が引く時だけ、袋を開けてたの」
思い出したのか、うふふと楽しそうに微笑む奈々先輩。
忍が透ちゃんに想いを伝えたのも、その後あたしに告白したのも、全部全部、奈々先輩が仕組んだこと。
「普通に付き合うなんて、つまらないじゃない」
「それあたしの時も、自分の時も言ってなかった?」
ぶるぶると震える透ちゃんに、奈々先輩はニッコリと微笑む。
「つまらない毎日しかこないなら、人類なんて滅亡すればいいわ」
さすが大魔王ですね。もういっそのこと世界征服とかしちゃえばいいんじゃないの?
「じゃあさぁ、忍くんが3番目に引いたクジに何て書いてあるか、みんな分かってたってこと?」
燈磨が聞くと、昴先輩たちが頷く。
「ナナは、イジワルだから」
「せやで。あん時の顔は、何か企んどると思うたわ」
「シ、って聞いて直ぐ分かったよね。奈々が考えそうなことだし」
あたしはみんなの話を聞きながら、減らない弁当箱の蓋を閉じた。聞かなくても、もう知っていたから。
「「失恋する場面!?」」
のんと燈磨が声を揃えて言うと、奈々先輩は首を傾げる。
「そうよ? 素敵な借り物でしょう?」
もはや借り物でも何でもないけどね……なんて、口が裂けても言えないけど。あたしは黙々と弁当箱を片付けて、専用のカバンにしまう。
「じゃあ、苺の時は? 何て書いてあったの?」
のんに聞かれて、奈々先輩はより一層口の端を悪そうに上げた。



