「似合わないんだもの!」
「はん?」
「あたしにデニムが似合うと思う!?」
「いや何の話してんの?」
あたしはピンクとか白とか白とか白とか……とにかくワンピースしか着ないのよ!
「1回くらい可愛いって言ってよ! バカっ!」
ポカンとする忍を今度はあたしが置いていき、走り出した。
「なんや苺、今日も私服かいな」
「それにしても浮かない顔だねぇ、ぶふっ」
「シノブとケンカしたの?」
「うるさいわね。ほっといてちょうだい。」
ツンッとそっぽを向くと、今1番見たくない顔。
「忍は乙女心が分かってないよね!」
忍の恋心に気付かなかった人に言われたくないわよ!
「ふふっ、今まで誰かさんに想われてたことに、全く気付かなかった人には言われたくないわよねぇ」
「な、奈々……それは言わない約束ですよね……?」
昼休みの食堂。あたしは透ちゃんたちに混じって、昼食を食べていた。両隣には奈々先輩と透ちゃん、目の前には昴先輩たち。
あたしはずっと膨れっ面で、せっかく作ったお弁当も全く減らない。
「苺も何か言ってやったらどうなの?」
奈々先輩は相変わらず微笑みながら、あたしを横目で見る。



