「……」
あたしは潤んだ瞳で会長を見上げる。
分かってくれるでしょう? 王子様なら、あたしの気持ちが分かるでしょ?
「変な奴だな、お前」
「…………」
めずらしいものでも見るような目つきに言葉を失っていると、会長はあたしから透ちゃんへ視線を逸らす。
「透、大聖たちの席とってこい」
「命令すんな鬼忍! あ、じゃあねみんなっ。今度一緒に遊ぼうね!」
「透、早く、席」
「奈々までヒドいぃぃぃい!!!」
会長たちはそれだけ言って、さっさと席へ移動してしまった。
「……」
何? これ。夢?
会長は“彼”じゃなかったの?
あたしの勘違い? 妄想?
「わー! 苺っ! 泣かないでよ!」
「お、王子様、は……?」
「泣ぁーくなよ苺っ! 別に今日見つけなくたっていいだろ!?」
瞳いっぱいに涙を溜めて震えるあたしの両隣で、のんと燈磨があたふたしている。



