バカにされ続けることが悲しくなった。
追い続けた夢が叶わないかもしれないことが怖くなった。
“普通”になれば、普通に友達や恋が出来るんじゃないかと、迷った。
“苺が信じないでどうするの”
一呼吸置いて発せられたのんの言葉。
“俺は今の苺だから、一緒にいたいって思うのに”
ムッとした表情で、そう言ってくれた。
そのままでいい。
それって何て素敵な、元気をもらえる言葉なんだろうって思えた。
友達が欲しくないわけじゃなかったの。たくさんの友達に憧れたりもしてたのよ。
だけどたったひとり。恋愛と同じ。
大勢じゃなくたって、たったひとりでも心から大事に想える人がいれば、心強くて、毎日楽しく過ごせるって、のんに教えてもらった。
のんがいてくれたから、あたしは今まで何も諦めずに、何も変わらずにいられたの。
中学3年生の時に燈磨が転校してきてからは、もっともっと楽しくなった。自分らしくいられたの。
それがどれだけあたしにとって救いで、幸せだったか、きっと言葉にしても伝えきれない。
――ねえ、のん。
王子様がガラスの靴を持って現われたら、真っ先にのんに報告するのが小さな夢だったの。



