逆転暴走シンデレラ



「好きだよ忍! 友達としてだけどーっ」

「ああ……はいはい。分かった分かった」


わんわん泣く透ちゃんに忍は溜め息をついて、奈々先輩に向き直る。いつの間にか、湊磨くんも起き上がっていた。


「次」

「あれ? 忍、友情のハグは!?」

「王子とでもやってろ!」


最後のクジを引いた忍に、それを覗く透ちゃん。その時、隣に立つのんが口を開いた。


「……やられたなぁ」

「……のん?」


見上げたのんは、あたしを見下ろすと、眉を下げて微笑んだ。


「シンデレラじゃなかったみたいだね」

「……え?」


3つめのクジに書いてあったのが?

じゃあ、何? そう聞こうとした時、あたしの名前を呼ぶ忍の声。顔を動かした瞬間、忍が何かを投げた。


「なっ……に!」


慌てて飛んできた物をキャッチすると、フワフワした感触が掌をくすぐる。


「なななな何!? なんかモフッてしたんだけど!」


右手に収まる物を握りしめて、忍に怖いと訴える。が、忍は興味ゼロ。


何そのどうでもいいってか、はん?って顔! ていうか、何でいきなりあたし!? 最後のクジに、なんて書いてあったのよ!


「俺は、自分から迎えに行くタイプじゃねぇ」

「……は、はあ?」


何よそれ。いつだか同じようなこと言ってなかった?