逆転暴走シンデレラ



「だって、今まで全然そんな……っ」

「お前ニブいからな」


鼻で笑う忍に、透ちゃんは見上げるのをやめて、泣いてるみたいだった。


きっと、自分の想いを言わなければならないことが、苦しくて。


……シンデレラに告白、とでも書いてあったのかしら……。


そう考えると、ますます悲しくなってくる。


……ああ、そうか。だから昴先輩は複雑で、翔太先輩は切ないと言ったのね。忍が告白をすると分かっていて、振られると、分かっていたから。


「っご、ごめん、忍。嬉しい、ありがとう……でも、ごめんなさい……っ」


そう涙を流して言う透ちゃんに、忍は予想外の笑顔を見せる。まるでふっきれているみたいに、笑っていた。


「泣きすぎじゃね?」

「泣くでしょぉー!? なんなのいきなりっ!」

「うっせーな。公衆の面前で告った俺の身にもなるべきじゃね?」

「あー! 忍ぅ! ごめんねぇぇえ!!」

「キモイ」


泣いてすがっていった透ちゃんはショックを受けて、すぐに立ち上がった。


「キモイって何さ!!」

「泣くか怒るかどっちかにするべきじゃね?」

「……もうあたしと、話したくない?」


しゅん、と肩を落とす透ちゃんをズルイと思いながらも、それが、透ちゃんらしいと思った。


誰であろうと、仲良くする。どんな人とも、繋がっていく。何があっても、どんなことがあっても。


そんな透ちゃんの性格の一部も、きっと忍は好きだと思うから。


「変わらねぇよ、何も」


そう笑った忍に、透ちゃんは滝のように涙を流した。