「まぁ苺ちゃんは平気か」
「せやなぁ。あーでも俺はアカン、切のうて見てられへんっ」
「何が切ないのよ」
忍が、なんの迷いもなく透ちゃんを連れて行ったから?
あたしだって……平気だけど、少しは傷つくのよ!?
「……忍くん、透ちゃん連れてったのに何で最後のクジ引かねーの?」
黙っていた燈磨が、会話していたあたしたちを遮るように言うと、翔太先輩が「は?」と口を開く。
「何でって、決まっとるやんけ」
「っえーーーー!?」
翔太先輩の声とほぼ被るように発せられた、透ちゃんの声。
見ると、忍は両手にポケットを突っ込んだまま、偉そうに立っている。その前で、透ちゃんはショックを受けているみたいだった。
「嘘だ!」
「嘘じゃなくね?」
「夢!?」
「現実ですが」
驚いてる透ちゃんをよそに、忍は淡々と受け答えている。
何だろう。そう思った途端、透ちゃんは腰を抜かしたように、地面に座り込んだ。
「……いつから……?」
その言葉で、分かってしまった。
「さあ、1年前くらい前からじゃね?」
忍が、透ちゃんに告白したんだと。



