逆転暴走シンデレラ



2人が反則ではないと分かった途端、残りの2人が下がってきたあんぱんに手を伸ばした。


それに気付いて、文句を言ってる場合じゃないとあたしも手を伸ばしたけど。


『残り2人も取って走ったー!』


出遅れて、残っているのを取ろうと見上げた瞬間。


「「あっ!」」

『――っば! 苺!』

……え?


支えに乗るはずだった木材が、眼界に広がる。落ちてきたんだと理解して、咄嗟に手首を交差させて頭を守った。


「「「苺!!」」」


誰の声かも分からないまま体が後ろに倒れて、腕に激痛が走った。


「苺っ!」


頭を守ったまま地面に倒れると、腕の痛さに瞑っていた目を恐る恐る開ける。


……生きてる? あたし、死んでない?


「おい苺っ」


手首を掴まれ驚いて見上げると、あたしの顔を覗いていたのは忍だった。


「あ……あれ? 忍……?」

「苺っ!」

「大丈夫かよっ」


反対側を見るとのんと燈磨がいて、どちらも顔を青くしていた。上体を起こして足元に落ちる木材を軽く見遣る。


「うん。腕……痛いだけだから大丈……夫っ!?」


自分の掌が何でもないことを確認して、そのまま視線を下に向けるとダラリと流れる赤。