「か、返して下さい!」
「俺に逆らうなんていい度胸じゃね?」
何がよ! だからあなた誰よ!
「あはは! 苺、入学式遅刻したもんね」
「知らないんすよ、苺」
のんが笑って燈磨が呆れると、透ちゃんが吹き出して、奈々先輩まで鼻で笑った。
「かっこわるっ! 知名度も認知度もなくて、何がいい度胸なのさっ」
「まあ、就任したばかりだものね」
何が? この人有名なの?
訳が分からないって顔をしてると、突然顎を持ち上げられた。目の前には、明るい茶髪と射抜くような視線。
ビックリしすぎると人間言葉が出ないって、ホントなのね……じゃなくて!
「なななななな何……っ」
男子に顎を持ち上げられるなんて初めての状況で、皮膚の下から顔に熱が集まる。
そんな、まさか……あたしにキスする気!?
「会ったばっかり……!」
「忍」
な、のに……って、はい?
ポカンと見上げると、先輩はあたしを真っ直ぐ見つめていた。



