「苺頑張れっ!」
平均台、跳び箱と、数ある障害物を難なくクリアしていって、最大の難関。
常に動かしていた足を止めて、見上げる先にはあんぱん。
紐に吊るされた、袋に“つぶあんたっぷり!”とかふざけたことが書いてあるあんぱん。
あたしはこしあん派よ! とかそんな場合じゃなくて!
「高すぎるわよ!」
どう見たって届かない。限界まで手を伸ばして全力でジャンプしたって届かない。
『おっと全員が立ち止まってしまったー! もしや届かない感じ!?』
あたし以外の4人も、何とか取ろうと必死になっているけど結果は同じ。
木材で作られた、簡素な構造が余計に腹立たしい。
何この高跳びみたいな作り。むしろ高跳びのやつ使えば良かったんじゃないの?
『――え? あれ男子用の高さ? うーわ。やらかしちゃったなオイ。……ってことでちょっと高さ変えまーす!』
はー!?
男子用って何考えてんのよホントふざけないでよ1位だったのにてか実況が湊磨くんってとこがもうホント腹立つ!!
これで1位取れなかったら湊磨くんの赤毛を全抜きしてやると考えていると、委員の人が脚立を持ってやってきた。
片方ずつ下げるみたいで、あたしはその様子を眺める。が、片方が下がった途端……。
『おおっとー!? ひとり片方下がったのをいいことに取ったー! いいんですかコレはい会長から反則の合図なしー! オッケーみたいっとまたひとり取ったー!』
「はぁ!?」
ちょ、なんっ、良くないでしょバカじゃないの!?



