「奈々先輩は誰の味方なの?」
「やぁねぇ。私は自分が楽しければ何でもいいに決まってるじゃない」
最低! 腹黒い! 女王様ですか!?
ああ……なんか奈々先輩って人が分かってきた。
「目が合う度微笑んできたのって……」
「面白い日常の提供に感謝してたのよ」
二コリと綺麗な笑顔を見せといて、とんでもない思考の持ち主ですね。
あたしが泣いていた日々を面白いで片付けちゃうなんて、腹黒いにも程があるわよ!!
「奈々先輩に関わりたくない」
「ふふ。今更遅くってよ?」
怖い。その笑顔が怖い。
「あら、そろそろ出番じゃない? ほら」
『障害物競争に出る1年生は宣誓台の前に集合して下さい』
奈々先輩が言い終わったと同時に、集合を促すアナウンス。あたしは一度宣誓台を見てから、背の高い奈々先輩を見上げる。
「1位、取ってみせるから」
そう願いにも似た誓いを立てると、奈々先輩はただ微笑んだ。
小さな砂埃を上げて宣誓台に向かうと「応援してあげるわ」と、自分が楽しければいいと言った人の疑い深い応援の言葉。
でも、力強い言葉。
その言葉を糧に、力の限り頑張ることを青空に誓った。



