「ずっとどんな子なのかって思ってたのよ。透の幼馴染みって言うから、個性は強そうだとは思ってたけど」
猫みたいな瞳を細めて一呼吸置く奈々先輩に、息を飲む。
「まさか忍を好きになるなんて。趣味悪いわね」
失礼! 何なのいきなり!!
「まあ、感謝はしてるのよ? いつも飄々としてた忍が、ねぇ?」
いや、ねぇ?とか言われても意味が分からないわよ。
「……奈々先輩って、1年の時も忍と同じクラス? 忍って、いつから透ちゃんのこと……」
ああ、聞かなきゃ良かった。でも、気になる。
奈々先輩はテントの下で忙しなく動く忍を見てから、再びあたしに視線を移した。
「さあ、多分出会った時からじゃないかしら」
……1年以上、好きってことね。
「忍はね、透とは別にいつもクラスの中心で。透が盛り上げ役だとしたら、忍はまとめ役ね。私たちが気付かなかったように、忍も気付かない速度で、好きになってたんじゃないかしら」
「…………」
知らぬ間に惹かれて、気付いた時には大好きで。忍も、そうだったの……?
「ああ、そういえば湊磨から聞いたけど、苺、忍に勝負挑んだんですって? 最高ね」
うん、まあ、もう誰が知ってても驚かないけど。
いっぺん召されればいいのに、あの害虫!!
「楽しみだわ」
フフッと笑う奈々先輩は、どう見ても悪だくみしてるようにしか見えない。



