「お。透が出てきた」
燈磨の声に、いつのまにか俯いてた顔を上げると、宣誓台にマイクを持った透ちゃんが上がっていた。
相変わらず前髪を星のゴムでちょんまげにして、屈託のない笑顔を振りまいている。
『あ、あー……コレほんとに聞こえてる?』
「ふ、馬鹿」
周りの人も燈磨と同じようにクスクスと笑っているのに、あたしは複雑な気持ちで透ちゃんを見ていた。
『えーっと、実行委員長の透です! 晴れて良かったですね! 今年は1位から3位のクラスに景品が出るので張り切って強奪しましょうねー』
「1位のクラスで1番頑張った人に与えられる景品があるってマジー!?」
『何で知ってんのぉぉぉぉお!?』
……透ちゃんが隠し事なんて絶対無理よね。ていうか……1番頑張った人に、景品?
「やっぱりあの噂本当だったんだよ!」
「嘘っ! 王子と1日デート権!?」
きゃーっ!と女子が騒ぎだして、耳を疑った。
「やべぇマジかよっ」
「奈々先輩とお近づきになれるチャンス!?」
あぁ、やっぱり奈々先輩もモテるのね。で、王子は昴先輩? てことは、要するに好きな人とのデート権が与えられるってこと?
「「「王子とデート! 王子とデート!」」」
『ちょ、待っ……昴とのデート権はあたしのもんじゃぁあああああ!! ついでに言うと奈々もあたしのもんー!』
「ぶはっ! 自分も狙われてるって気付いてねぇ!」
燈磨は笑っていても、周りの生徒は目がマジ。そりゃもうハンターのごとく。
『何ひとりで騒いでんだよ。バカじゃね?』
「…………」
透ちゃんの後ろから、王子様。