「……死ぬわ」


緊張で、死にそう。


放課後の会長室前。事前に燈磨が湊磨くんに聞いてくれて、今日の忍は生徒会長の仕事をすると調査済み。


ああ、遅い。まだかしら。


……あたし、今のこの状況で死んだらどうなるのかしら。


ちょっと感動的になるんじゃない? 倒れてるあたしに王子様が駆け寄ってきて……。


『大丈夫ですか!?』

『ああ……最後に……一目お会いできて良かったです……』

『ダメだ苺っ! 目を開けて……』

『王子さ……ゲフッ!』


うん、いい感じ。でも血は吐かなくてもいいわね。キスをされて、目覚めればいいんだもの。


冷たいし汚いし、廊下ってとこがちょっと嫌だけど我慢よ苺。我慢我慢……。


「……おかしくね?」


瞑っていた瞼を開けると、待っていた忍があたしを見下ろしていた。


会長室前で仰向けに寝そべっていたあたしは勢い良く起き上る。そりゃもうマッハで。


「こにゅ、こんにちは!」


ぎゃー! 噛み過ぎ!!


「……どーも」


はい、じゃなくて! どうして何事もなかったかのようにカギを開けてるの!?


「話があるの!」


ドアを開けた忍は眉を寄せながら、あたしを見ることなく口を動かした。