「ま、苺の場合は理想が高いってのも……お、きた」
焼きそば3人分が渡され、燈磨とのんが受け取る。のんはあたしの分も持ってくれて、あたしの手は飴の棒から離れることはなかった。
「どこ座るー?って1年少ないね」
のんが言う通り、周りは見るからに先輩ばかり。
「入学したばっかで1年も遠慮がちなんじゃん? テキトーに座ろうぜ」
そう言って燈磨が歩き出そうとした時、「うっほぉおお! 天使降臨んんん!」と、食堂中に響く大声。
この、相変わらず興奮を抑えきれない声は……。
「とーるっ」
のんに名前を呼ばれてこちらへ向かってきたのは子猿、じゃなくて……のんよりひとつ年上のお姉さん、透ちゃんだった。
「わ! 苺ちゃん髪切ったんだね! 可愛いっ! 燈磨くんも久しぶりーっ」
金茶のショートカットに、星のゴムで結んだ前髪を揺らしながらニカッと笑う透ちゃん。
相変わらず中学生と言っても通じると思うほどには、童顔で身長も小さい。
小学生でも通じそう。
「昴たちは?」
「何か委員会だってさぁ~。でものんに会えたから幸せーっ!」
しまらない笑顔で弟に抱き付く透ちゃんを見ていると、本当に姉弟なのかと疑う。
同時に嫉妬と言う名の軽い殺意が芽生えるのはいつものことだった。



