いきなり引っ張られたと思ったら、すでにあたしは翼の腕の中にいた。

つまり、抱きしめられてる。


「この可愛いお姫様のことかな?」


翼の言う"この"……つまり、腕の中に収まっているあたしをみて、優奈は目を見開いた。


「……あ、あおが……?」

「あ〜ぁ、また王子面しちゃって……」


思考が一時停止して訳も分からず周りを見渡すあたしは、少ししてからやっと状況を理解して、顔に熱が集まるのを感じた。


「……あ、えっと……」


恥ずかしいから翼の胸に顔を埋めて顔を隠そうとするあたし。


だって、抱きしめられてて動けないんだもん。