今思えば あの小春日和 君の冷たい掌を暖めることの幸福に気付いたとき 僕は既に 恋に落ちていたのだと思う 通学時間 いつも通り来るバス 一番奥の窓際の席 遠くを見つめる君の横顔 何気なく見ていたつもりだったのに 気付かれてしまった 一瞬 目が合えば頬を赤らめて 俯く君 出遭った日のことを思い出しながら 一歩一歩足を踏み出すごとに とくんと跳ねる心臓 鼓動の向こう 知らない痛みを覚えた 春