滲んだオレンジを背負ったアナタが
ふわりと笑った 午後6時30分


世界はどこまでも孤独で幸福で


みんながみんな

同じお皿をつつきあって
口をあけて笑ってる






横断歩道の先

赤いランドセルを背負った女の子

真っ赤な顔した男の子

二人の手がきゅっと繋がっているのが見えて


こころがほっこり 
あたたかくなった





黒猫がガードレールの下を歩いていた

首につけた鈴がちりんちりんと鳴って
私には泣き声に聞こえた

だけど目があえば毛を逆立てて

黒猫は ニャーと鳴く





雲がオレンジの海を泳いで
私の頭上をからすが追い越して

夏が眠って秋が燃えた


失っては生まれるこの世のふしぎ





繋いだてのひら
染み付いたぬくもり


かけがえのない 
なんて一言であらわすのはどこか違うし

愛しいでも まだ足りない


名前を呼べばいつだって



あなたはふわりと


笑ってくれる







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