アメノウズメは黙ってその手を取る。照らす者の手は滑らかで美しく、温かかった。柔らかく笑う。


「アマテラス、確かにあの者――スサノヲは、粗忽者、乱暴者で大変な荒神ですわ」



 でも、とアメノウズメは穏やかに続ける。




「あれは心根の優しい者です。不器用ながらも姉君の貴女様を想い、あの者なりに少しは考え今の状況をなんとかしようともがいているのでございます…」


 相談がある。と自分の所にやって来た荒々しくも自分にとってはどこか可愛い弟分を思い出す。

 乱暴に髪を束ねた頭を掻きながら、普段は鋭い眼光を放つその瞳を伏せがちに、照れ臭そうにたどたどしく胸の内を明かした。その姿は確かに姉を慕う弟の姿だったのだ。





「信じましょう?アマテラス」




 微笑んではその手をしっかり握る。
 やがてアマテラスはその眼を微かに潤ませて、しっかりと頷いた。





 二人の女神が互いに微笑み合っていると、突如として部屋の扉が慌ただしく開いて、アマテラス様ッッ―と言う声がした。