そういう事もあってか、スサノヲもどこか彼女をもう一人の姉のように懐いている節があるのだった。

 そんな彼女に、何かアマテラスが喜ぶような事ができまいかという相談を持ち掛けたのだ。


 なら大人しく過ごせば良いのだが、そんなことが出来れば何もそんな相談はしないのだ。


 そんなスサノヲの相談を笑う事なくアマノウズメは何かしら思い付いたらしく、まずは馬の死骸を用意するようスサノヲに言ったのだった。
 何に使うのかなど、普段頭を使わないスサノヲにはわからない。



 しかし、これであの優しい姉を喜ばせる事ができるかもしれないと思うと、胸の内は温かくなるのであった。


…―喜んで、くれると良いな―…




 スサノヲは不器用な男だった。
 感情は剥き出しにぶつけることしか出来ず、その結果として彼が軽くはたいたつもりでも物は壊れ、振り払った腕に相手は怪我をした。

 そしてその度に優しい姉は困ったように微笑んでは、弟のしでかした事を詫び、また許していた。




 かけてばかりの迷惑に、苦い思いをしていないわけではないのだ。