「じゃ、行きましょうか」





私の手をとって、校門へと向かう。






ちょっと待って。




「どこ行くのっ?」





「百合子さんの家です。僕、家ないんですよね」





そっか。

あるわけないよね。






でも、お母さんとお父さんがいるし…





「ご両親も僕のことは見えないですから、安心してください」





…そういう問題じゃない!










心の中でそう叫びながら、雅につれられて家路に着いた。