「ずいぶんひどいこと言うわね~」

あきれ返りながら女の子の方を向くと、おびえたような小さな視線をあたしに向けていた。

「どうしたの?」

努めて優しい声を作りながら、身をかがめて女の子の顔をのぞきこむ。

「お姉ちゃん、あたしのこと捕まえるの?」

彼女はうつむいたまま上目遣いであたしを見た。

「そんなことはしないわよ」

お姉ちゃんて言ってくれたしね。

「あなた、お名前は?」

「藤森理花」

「あたしは日野麗美。よろしくね、リカちゃん」

そう言うと、女の子もといリカちゃんは笑顔になった。

丸顔で目はクリクリとして大きく、ピンクのブラウスとスカートがよく似合っていた。

「どうしたの、お姉ちゃん?」

リカちゃんにそう言われて、あたしは彼女の顔をじっと見つめていたことに気付いた。

別に彼女の容貌に魅せられていたわけではない。

あたしにそのテの趣味はないし、今後芽生える予定もない。