「そうだそうだ!」

「藤森はウソつきだ!」

他の男の子たちもそれに同調した。

「あたしウソなんかついてないもん!」

それまでじっと黙り込んでいた女の子が爆発したように叫んだ。

小学生らしからぬヒステリックな剣幕に、あたしは思わずたじろぐ。

「お前の家にオバケなんかいるワケないだろ!」

は? オバケ?

「いるもん!あたしんチにはオバケいるんだもん!」

女の子は真っ赤な顔をして、男の子たちに負けじと声を張り上げた。

「ウソつけ!」

さっき拳を振り上げた男の子が女の子につかみかかろうとする。

「はいはいストップ~」

あたしは再び子供たちの間に立った。

どうやら状況としては、女の子が自分の家にオバケが出ると言い張り、男の子たちにはそれが気に入らないらしい。

だからといって男の子4人が女の子ひとりを取り囲んでいいという結論にはならない。

あたしは弱い者いじめが大嫌いなのだ。