そんな兄弟に挟まれ、澪はただ困惑するしかなかった。






「……ちよっ、弥生君……放して!」



 澪が弥生の腕から逃れようとじたばたしても、その腕が解かれる事はなかった。










「ねぇ澪さん」




 途端、弥生が耳元で呟いた。







「僕の……彼女にならない?」





 ニヤリ。



 その、稚尋に似た整った顔が……不気味な笑顔に歪んだ。









 一瞬、何を言われたのか理解する事が出来なかった。