“ダイキライ”




 過去の記憶が今日も追い掛け、その先を目指す事を許してはくれない。






 どんなに思い望んだ所で叶わない事もこの世には沢山ある。



 それを、幼い頃から思い知っていた僕にとってこの世界はあまりに残酷だった。










『弥生くんなんてきらい! だいきらい! どうしてちーに意地悪するの!?』




『あっ……雛子ちゃ』



 違う、違うんだ……。




『来ないで! だいっきらい……!』






 世界はあまりに残酷過ぎて、子供の僕はただ泣く事しか出来ずにいた。






 雛子。





 君は今でも僕の事が嫌いですか……?