ななななな!!
 なに今の!?




 そんな感じで叫びたくなっちゃうくらいびっくりした。

 実際映画館だから叫びたくなる衝動は押さえたけど。
















 でも。



 本当、やばかった。











 クスクス


 澪が一人であわてふためいていると、隣で微かに笑い声が聞こえた。








 不思議に思い、その方にゆっくり首を向けた。




《なななっ! なんで笑う訳!?》




 それはもちろん隣の弥生君。



 澪は頭が回らず、一人で混乱していた。


 もう映画の内容も頭に入らない。












 最悪だぁ










 すると、笑い声を抑えるようにしながら弥生は澪の耳元に近づき、小声で呟いた。















《澪さん、兄さんの彼女の割にはウブなんですね?》








《……うるさいなぁ!》





 精一杯の反撃も、海の泡のように瞬時に消えた。







 抵抗するだけ無駄なだけである。