「ここら辺で見掛けた、という話を聞いて来たんですが」




「うるせえ!

知らねえっつってんだろうが!」




 リーダー格の男は、そう怒鳴り散らすと、周りの男達に合図した。




 男達が、一斉に飛び掛かってくる。




 甚兵衛が小さくため息を吐いた。




 男達は、この手のことに余程慣れているのか、その連携は思いの外スムーズだ。




 かなりの手練が相手だが、甚兵衛は、ほとんどかわしようがないと思える攻撃を、巧みな体捌きでかわしていく。




 しかも、誰か一人の傍を擦り抜ける度に、的確な一撃を急所にいれ、男達を悶絶させていく。