「あたしのせいだよね。ごめんね」

 千春のせいじゃない。

 あたしはそう言いたくて何度も首を横に振る。

 でも、言葉が上手く出てこなかったのだ。

「やっぱりあなたを巻き込むべきじゃなかったね。分かっていたのに、ごめん。お兄ちゃんは優しいから受け入れてくれると思っていた。でもきっと、だから受け入れられなかったのかな」

「なにが?」

「どうしてこの映画を撮りたかったか言ってなかったよね」

 あたしは頷く。

 そして、顔を上げた。

 そこには目を真っ赤にした千春の姿があった。