制作発表はホテルで行われた。意外と金がかかっているのだと思った。

「大丈夫?」

 あたしは木下さんが用意したドレスに身をつつむ。

 あたしの隣には平然とした顔をしている杉田さんがいた。

「大丈夫だと思います……」

 時間が経過するたびに心拍数が上昇していく。

 杉田さんがあたしの手をつかんだ。

「大丈夫だよ。君なら大丈夫だって」

 この人は全然緊張した素振りもない。

 意外と肝が据わっている人なのかもしれない。

「もう帰りたい」

 緊張してどうにかなってしまいそうだった。

 あたしの言葉に杉田さんが苦笑いを浮かべる。

 情けないことを言っているのは分かっているけれど、昨夜もあまり眠れなかった。

 どうせならだまし討ち的に開催してほしかったと思わなくもない。