母親から許可をもらえるかどうか心配しているのだろうか。

「それは大丈夫だけど。本当なの?」

「大丈夫って。詐欺とかじゃないから安心して」

 彼がそれを望むことはないと思っていた。なぜなのだろう。

「そうじゃなくて伯父さんは選ばないと思っていたよ。浮かない表情を浮かべていたし」

「でも、京香を選んだでしょう? だから大丈夫よ」

 千春は励ますような口調で言った。

 そんな彼女の声を聞いていると、もしかすると千春が説得してくれたのかもしれないとも思う。

 そのとき、玄関が開く音が聞こえてきた。

「お母さんが帰ってきたみたい。話をしてみるよ」

「うん。頑張ってね」

 あたしは電話を切った。