なんで…?



人気のない教室には、外からの野球部の声が響く。



篠原は、無断で部活を休むような奴じゃない。



なのに…



「……っ」



「杉田!!」



考えを張り巡らせていると、中津が走って教室にやって来た。



「中津…」



「希は?」



中津に聞かれ、ここにはいないことを告げた。



「どこ行ったんだよ…」



そう言いながら、中津はポケットから携帯を取り出し、電話をかけだした。



「…くそ、繋がんねぇ。」



苛立ったように携帯を乱暴に閉じると、中津は教室を飛び出した。



「中津!?」



「俺、学校の中探してみる!杉田はそっちの方よろしく!!」



そう言って走り出した中津の姿が見えなくなって、俺も探しに行こうとした時…



「…………」



携帯が震え出した。