before kiss, after kiss[短篇]

 
「かいちょーさ、セックス好き?」

「……は?」



立ち止まって急に何を言うかと思えば。



くだらない。



答えるつもりはなかったものの、目が合ってしまい逃れられる雰囲気じゃなかった。

「嫌いならしようと思わない」

そうとだけ答えておく。



「ふーん、俺キライ」

「さっきと言ってることが違うでしょ」


ひとの回答にその相槌もどうかと思ったが、キライというひとことに疑問符が湧く。


さっきは「健全な十七歳」がどーたらこーたら言ってたくせに。



「えー、気持ちいいとは思うよ? だけどさ所詮その場限りの気持ち良さじゃん?」



言いたい意味が分からない。


寧ろその気持ち良さがずっと続いていたら怖いと思うのだけれど。



「結局さ、一瞬の快感の為だけにしてるのかと思うとねー。逆に離れたあと寂しくなっちゃうって言うか」

「あんた馬鹿?」



よくわからない展開に思わず零れた正直な心情。


だけどそんな酷い言葉にも押見は声を出して笑っていた。



「バカだと思うよー、だってただの前後摩擦運動だと思うと相手なんて誰でもいいやって思えるし」


あはは、そんな乾いた笑い声が木々にこだまして。



私の脳に響いてくる。