狐と兎

“気分はどう?”の答えにハルトは“辛くはない”と受け流すのを聞きながら、

キルシュはある事を考えていました。その為ずっと無言だったからなのか、

オルヒデは彼女もまた体調を悪くしたんじゃないかと疑いました。


「キルシュ? 具合でも悪いの?」
「違うってば! ねえ、此処って食べ物持ってきて良かったっけ?」
「……? ああ、そういう事か。害がなければね。何にせよ」


“キルシュの料理は人を気絶させてしまうからね”と、

小さな声でオルヒデは彼女に囁きました。

考えている事を読まれてしまったキルシュは驚きよりも、

その後の言葉に対する怒りを多く持っていました。

その為オルヒデを殴りました。“余計なお世話!”と怒鳴りながら。

キルシュはそのままその場を飛び出してしまいました。