大きな金色の瞳はまっすぐにフィリシアを見つめていた。


「…ねぇキュイキュイ、月族の族長は本当にもういないのかな?」


ぽつりとフィリシアは話かける。


キュイキュイは目をぱちくりとして見せた。


「そうだよね、月族は滅んだもの。族長も消されてさまったんだよね…。」


会ったことはない、見たこともない族長の姿をぼんやりと思い浮かべてフィリシアは大きなため息をはいた。


ふと、高い天井を見上げる。


そこには闇と同化した月がぼんやりと存在していた。

「ミシャ…アヤトをどうするつもりなの…?」


やがて、バタバタとこちらへ誰かが走ってくる音が聞こえた。


一人ではない。


複数のヒトがこちらへ走ってくる。


「こっちだ!!闇族の気配だ!」